多分、私は今この人を傷つけた。
だから、何か言わなくちゃ。
お得意の嘘くらい。

青葉「あの...」

そう思ってもなかなか
言葉が続かなかった。

律「いくらでも待ちますよ。
僕がそう言いましたから。
でも、その代わりに...」

南雲さんはポケットから
スマホを取り出す。

律「撮りましょう。」

青葉「はい?」

律「青葉さんとの写真。
僕もこのスマホに収めたいんです。」

青葉「悪用...とかしませんか?」

律「しません。」

分かっていた。
そんな事を聞かなくても。
この人はそんな人じゃないって。

でも、気恥ずかしかった。
私なんかと写真を撮りたいだなんて
正気の沙汰じゃない。

律「僕のスマホがダメなら
青葉さんのスマホでもいいです。
一緒に撮っていただけませんか?」

青葉「いいですよ、南雲さんのスマホで。」

律「ありがとうございます。
では、撮りますよ。」

写真に映った私たちは
ものすごくぎこちなかったけど
...楽しそうに笑ってた。