「風邪引いて保健室にいて眠ってる時、花宮がそばにいてくれて。起きた時、花宮がニコッと笑ったんだけど、その笑顔で好きになったんだと思う」



キミは照れくさそうに話す。


───違うんだよ。

本当はずっと、付き添ってたのは私。

要の鞄を取りに行ってる間、要が目を覚ました先に花宮さんがいたのは、偶然保健室にいた花宮さんに、保健の先生が「様子を見てくれ」って、頼んだだけ。

だから、違うんだよ……。



……なんて、言えない。
こんなにも、要は幸せそうに話すんだもん。


言いたいことをグッと飲み込んで、私の口から出てきたのは、こんなセリフ。



「……要は本当に、花宮さんのことが好きなんだね」



──なに言ってんの、私。
自分で自分の首絞めるようなこと言って。



ねぇ、要。お願いだから、「うん」なんて言わないで───。



「うん。笑っちゃうくらい好きなんだよな」



私の初恋は、呆気なく散った。
わかりきってたことだけど、やっぱり、辛いな。


それに、そんなこと言われても、まだ「好き」が消せない。


───ごめんね、要。
ズルくてひどい私で、ごめん。