「綾乃」
「うん?」
「誰にも言わないでね、このこと」
「え、大輝か要には報告するよ?万が一に備えて」



あー、やっぱり?

でも、もし要とか大輝が出てきたら、それこそ拗れると思うんだけどなぁ。

っていうか、要には来てほしくない。



「要だけはダメ」
「じゃ、大輝ね」
「……ほんとは大輝も、来ない方がいいけど」



ポツリと本音が漏れる。

そもそも、綾乃にも来ないでほしいけど。巻き込みたくない。

そもそも、自分の身くらい自分で守れるよ。守れるはずだよ、私。

それに、もしかするといい人かもしれないし。
だったらなんの用事だろうって話になるけど。



「かな……」
「大輝来てくださいお願いします」
「おっけー」



……地獄耳。

結局、綾乃にこのルーズリーフが見つかった時点で、私の負けは確定していたんだろう。なんか悔しい。

全部が全部、綾乃の思惑通りになってる気がしてならない。
なんにも考えてなさそうに見えて、結構腹黒いからなぁ、綾乃。