私の嘘は、キミのせい。




神様は、いじわるだ。

私の幸せなんか、神様はきっと気にしちゃいない。
みんながみんな、幸せになれないことぐらいわかってる。

だけど、こんなに辛いなら……要とは出会わない方がよかったのかな。


要は、いつからか私なんて見なくなった。

───いや、私を見てくれない要を、私は見たくなくなった。


要は、私が隣にいる時だって、私を見てくれない。私が隣にいるのに、花宮さんを見てる。


もうやだ。

要のこと、嫌いになれたらいいのに。



「奈々佳、泣いてる」
「え……?」



綾乃の呟きを聞き逃さなかった私は、慌てて目元を拭う。

そっか、私、泣いたんだ。無意識のうちに。


本当は二人には……ううん、誰にも知られたくなかったのに。こんな気持ち。

知られて、心配かけたくなかったのに。



「奈々佳、涙は、なかったことにしなくてもいいんだよ?」
「…別に、そんなんじゃ……「ないって言おうとしてる?そんなんじゃなくないよ。そうなんでしょ?」
「……」
「ほら、答えられないくせに」



あぁ、そっか。

なんでここで黙っちゃったんだろう。馬鹿だなあ。こんなんじゃ、肯定してるのと同じじゃんか。


すごいな、二人とも。二人には、噓がつけないから、怖い。