フルール・マリエ



羽織って頂いた色打掛は後ろ側の裾に赤地で金色の四君子が刺繍された華やかな柄が広がっている。

背中、前側にかけては白地で柄も少ないので後ろ側とは全く違う印象を持たせる。

前から後ろへ、徐々にグラデーションしていくような見る角度で印象の変わる心踊る色打掛だ。

「白無垢から赤色の色打掛にお色直しされるのは、生まれ変わりを意味します。色打掛もそのように、白から徐々に赤色へ、新婦様が山口家の家族に溶け込んで賑やかな家庭になっていくような思いで選ばせて頂きました」

3人の反応が良い方なのか悪い方なのか、まだわからない。

不安になりかけたものの、気づかれないように呼吸を整えて、改めて声を張る。

「こちらの柄は四君子といいまして、蘭、竹、菊、梅が一緒に描かれた大変おめでたい柄です。清楚な蘭、高潔な竹、気高い菊、高貴な梅、と4つの植物が品位のある君子の特性を持つことからそのように呼ばれています。水色とおっしゃられていましたが、清楚なイメージは一概にも色では決まらないこともお伝えしたく、勝手ながらご用意させて頂きました」

3人の顔に順番に視線を向けると、最初に声を出したのは思いもよらなかった新婦だった。

「・・・すてき」

思わず溢れ出した言葉、といった感じに見えた。