フルール・マリエ



その後、神崎様は3着、同様のピンク系の色のドレスを試着した。

写真を撮り、後ろ姿も入念に確認し、どれも素敵、と悩まれていた。

一度に打ち合わせをする時間を2時間と決めているのは、お客様が疲れてしまわないように、という配慮の他に、1日に多くのドレス試着してしまうと、頭が整理されず、逆に混乱してしまう。

だから、時間を置いて改めて思い返してもらうことにしている。

そして、お客様には最後に本日1番印象に残ったドレスを伺っている。

ドレスはレンタルだから、もちろん他の方も試着する。

次に来店した際に、再び試着できるように本日の1番を用意しておくためには予約しておかなければならなかった。

「選べないですよぉ」

「これで決まりではないので、1番な気がする、という印象で良いですよ」

「うーん、これ、かなぁ」

スマホの画面に並んだ最初に着たコーラルピンクのドレスの写真を指差して、首を傾げた。

「どんなところが、気に入られましたか?」

「色がとても綺麗だし、良く見ると単色じゃないのがオシャレだなぁって。フリルスカートはもう少し抑えめがいいかも、なんですけど」

こうしたヒアリングからお客様が求める衣装を次の来店の際に提案し、またヒアリングして精度を上げて行く。

「新郎様にも見て頂いてください。本日中であれば変更も可能です」

神崎様との打ち合わせを終え、出口までお見送りをすると、使用した打ち合わせスペースを整えてドレスを返却し、一度裏の事務所に戻った。