それからも、ファッションビル内や道路沿いに並んだショップに片っ端から入って行く千紘なのだが、全てレディースで、何かを買いたそうなわけでもなかった。
こっちは慣れないサンダルで足が痛くなって来たというのに、千紘は真剣に店内の様子や服に視線を向けている。
「ちょっと休憩しようか」
コーヒーが飲めそうな店を見つけて入り、2人共アイスコーヒーを頼んだ。
「さっきから、何してるの?欲しい物があるってわけじゃなさそうだけど」
「たまにやるんだ、ヒント探しってところかな。女性ってどんなものに憧れてどんなものを見たいと思うのか。男の俺が想像するには限界があるけど、なるべく新郎新婦の気持ちには応えたいからね。ただ、男1人でレディースの店に入ると変な目で見られるからカップル装ってみようかと思って、聖に付き合ってもらった」
変な目で見られているのではなく、突然の美形訪問に驚き、盗み見したくて仕方ないだけだ。
千紘と今まで行動を共にして、それは確信できる。
それにしても、まさか仕事に関係していることだとは思わなかった。
理解し難い言動もあるけれど、仕事に対してはひた向きで真面目。
エリート、と呼ばれて天才かのように噂されているけれど、本当は誰よりも努力をし、信念を持って仕事に向き合っているからこその結果なんだと気づいた。

