フルール・マリエ



車を駐車場に停めると、ファッションビルに入り、迷いもなくレディースファッションを物色し始めた。

「これとこれ着て来て」

「え、何で?」

唐突に白シャツにベージュのロング丈のチュールスカートを渡された。

「その格好だと街を歩くには、俺とアンバランスだからね」

「ダサいから、着替えて来いと」

「聖は察しがいいなぁ」

そういう手段を取ってくるとは思わなかった。

笑顔で差し出してくる服を奪い取って、試着室で着替えて出て行くと、千紘は満足そうな顔をしていた。

「ああ、サンダルはこれね」

そう言って、アンクルベルトの付いた細身の黒いサンダルを足元に置いた。

「聖は足首が細くて綺麗だから、ロングスカートと細身のサンダルは似合うと思うよ」

足首なんていつ見られたのか怖いことこの上ないはずなのに、さらっと言ってのけられると不覚にもときめいてしまう。

それに、千紘が選んでくれた服はシンプルながらもお洒落で私好みであったのも悔しい。

「すみません。これ、着て行きます」

千紘が店員に勝手に伝え、会計を済まそうとするので、私は慌てて止めに入る。

「私が払うからっ」

「連れ出したお詫びと思って受け取って」

「お詫び、って一応申し訳ないとは思ってるんだ」

カードで支払うと、悪びれもなく全然、と首を振った。

「悪いと思うことなら最初からしてないよ。それにその服、気に入ったでしょ?」

何なの、この自信。

理解の範疇を超えていて、私は呆然とするしかなかった。