人さらいとほぼ変わらないな、と思いながら行き先もわからないまま助手先の窓から流れる風景を眺めていた。
「聖って、休日はかなりカジュアルなんだね?」
適当に着て来たグレーのパーカーとジーンズのことを言っているのだろうが、当てつけに決まっている。
無理矢理連れ出されたのにお洒落するのも癪だったし、あわよくばこんな格好の女を連れ歩くのを拒否してくれればいいと思った。
「嫌なら戻ろうよ」
「ギャップがあっていいと思うよ。でも、今回の目的にはそぐわないから、ちょっと寄り道しようかな」
「一体、どこに行こうとしてるのよ」
「いろいろとね」
千紘の服装はジャケットは着ているものの、仕事の時のような硬さはない。
ファッションの一環なのか黒縁メガネがいつもとは違う休日感を感じる要素の一つでもあるのかもしれない。

