やっと見慣れた道路に出てきて、家へのいつもの細い道を千紘は難なく通り抜け、迷う事なく私の家の前で停車した。
最初は緊張したものの、昔の話もあってか自然と会話が成り立つようになって、ここまで全く苦がなく、あっという間に着いてしまったような気がした。
「物足りない?」
「え?」
「着いたけど、降りないの?降りないならこのまま持ち帰るけど」
「な、な、何言って・・・!」
「はは、何そのリアクション。冗談だよ。かわいーね」
からかわれた事に気付き、羞恥と怒りのせいで乱暴にドアを開けて外に出る。
「じゃあね」
うっとりするような綺麗な笑顔も怒りで冷静さのない私には火に油で、勢い良くドアを閉めた。
車の赤いテールランプが見えなくなったところで、ふと冷静になると、最後にご馳走になったことと送ってもらったことのお礼を言おうと思ったのに、千紘を睨みつけて送った事に後悔し、嫌悪を吐き出すように深い溜息を吐いた。

