フルール・マリエ



「そもそも、何でブライダルの仕事してるの?結婚に夢を持たないのに、どういう動機?」

「動機は単純。結婚式が好きだから」

コースに使うナイフやフォークが目の前に並べられていくのを眺めながら、夢を持たない結婚式を好きという理由を探していた。

「結婚式は1つ1つが個性で、同じものなんてない。いつも違うものを作り上げていく感覚は面白いよ」

「それが結婚式を好きな理由?」

「もう一つは綺麗なものを毎日見ていたかったから」

「ねぇ、ちょっと思ったんだけど、千紘って潔癖症?」

「そんなことないよ。汚い物より綺麗な物を見ていた方が良くない?」

綺麗すぎる顔を毎日見ていれば美意識も一般人の基準を超えてしまうのかもしれない。

美男子の考えることなど、所詮凡人には理解しがたいに違いない。

「聖の動機は?」

「え?」

「聞いておいて、自分だけ逃げるのはずるい」

逃げるつもりもなかったけど、いざ言葉にするとなると気恥ずかしさが出てくる。

面接で志望動機を話した時以来かもしれない。