「30分経ちました」
悪あがきのつもりでめくった最後のページに私は目を奪われた。
これなら満足頂けるかもしれない。
「何か見つけましたか?」
「真田さん!これを!これを取り寄せられるか、明日確認して頂けますか!?」
勢い良く立ち上がり、カタログを真田さん目の前に広げると、真田さんは一歩身を引いたものの、いつものクールな表情に変化はない。
「これなら三原様に気に入ってもらえそうなんですか?」
「きっと!」
「・・・わかりました。やってみましょう」
「ありがとうございます!」
勢い良く礼をして、高揚した気持ちで帰り支度を始める。
「家は変わっていませんか?」
「家?実家ですけど」
「なら送って行きます」
「え、いいですよ。歩いて帰るので」
「じゃあ、言い方を変えます。今度は私に付き合ってもらいます」
言葉に強さが増して有無を言わせない圧力感を感じる。
「君に付き合うために私は人と会う約束をキャンセルしました。君のせいで食事を食べ損ねたんだから、付き合ってくれてもいいですよね?」
「な・・・!さ、先に言ってくださいよ!そんな約束があるって知ってたら、私だって無理を言いませんでした」
「たらればなら何とでも言えます。奢れとまでは言いませんよ。ただ、断る理由は君には無いってことは言っておきます」
恩を感じたすぐ側から断れる程、図太い神経も持っていない私には、真田さんの有無を言わせない誘いに頷くことしかできなかった。

