フルール・マリエ



薔薇のドレスを着たものの、やはり鏡に映った自分を見ては悩むことになってしまった。

新郎も薔薇のドレスに合わせて、ジャケットの中にワインレッドのベストを着てもらい、胸ポケットにも同じ色のチーフを入れた。

やはり薔薇のドレスは薔薇のドレスで大人の雰囲気が一気に増すので、先程のイエローよりもかっこよく入場できることだろう。

たっぷり時間を使って悩まれても決まらないので、来週もう一度来てもらうことになった。

新郎は仕事があるので新婦だけ来店するということだった。

「すみません。本当に、来週は決めます」

三原様は申し訳なさそうに頭を何度も下げながら帰られて行った。


事務所に戻ると、後輩の牧さんも同じタイミングで「お疲れ様です」と言いながら入って来た。

「決まりませんでした?」

「残念ながら」

「私は絶対イエローの方が似合ってると思うんですけどね」

牧さんは隣で接客をしていたから三原様の衣装も見ていたのだろう。

「実際のところ、朝見さんはどっちが似合ってると思うんですか?」

そう尋ねられると、正直答えに窮する。

先入観を持たないためにも、なるべくこれが絶対似合う、とは思わないようにしている。

しかし、今回の三原様の場合は本当にどちらも良くお似合いで、私が決めても良い、となったとしてもどちらを選ぶかは、その時々で違ってしまうかもしれない。