フルール・マリエ



元の打ち合わせスペースに戻ると、真田さんと新婦はドレスが掲載されたカタログを眺めながら楽しそうに談笑していた。

真田さんが女性とどんな談笑をするのか興味はあったが、今は神崎様のことに集中しなくては。

「お待たせして申し訳ありません。ではウェディングドレスとタキシードの試着をしましょう」

時間的には今日は1着ずつだが、この1着が何着分にも値するだろうと思っている。

「いいの?」

「ああ。ごめんな。変なこと言って」

新婦はまだ少し不安げだったが、新郎が微笑むのでつられて新婦も柔らかい表情になっていく。

「では、失礼しました。ごゆっくり、お楽しみください」

真田さんは恭しく礼をし、静かな所作で立ち去った。

「では、新婦様はエンパイアラインのドレスに、新郎様のタキシードはどういたしますか?」

「白でお願いします」

新郎が迷わず言ったので、新婦は再び確かめるように新郎の顔を見上げる。

「結婚式は美玲がやりたいことをやる、って決めてるんだ」

私がアドバイスをするなんて差し出がましいことだったかもしれない。

新郎のためにシャツとタキシード一式を試着室に用意し、終わったら座っていてもらうよう伝えた。