フルール・マリエ



「ただでさえ僕は褒め下手で、彼女の姿を見て、的確な感想が言えるとは思えません。逆に彼女を傷つけてしまうかもしれない」

「的確な感想を伝える必要はないんですよ」

「いや、でも、これどう?って聞きますよね?」

「ええ、きっと」

「それが困るんです。色の事を聞かれても、僕には答えられません」

「ドレスの良さは色だけではありません。形や装飾も様々です。そういったところを見て、思った事を正直に言うのはいかがでしょうか?新婦様に似合うと思った物しか試着して頂いておりません。新婦様に似合う箇所が必ずありますよ。それに、笑顔でいいね、って言ってもらえるだけで新婦様はお喜びになると思いますよ」

「それだけ、ですか?」

「いくら新婦様が相手といえど人目がある中で褒めるのは気恥ずかしさもありますよね。それは良くあることで、つい素っ気ない態度をとってしまう男性も多いんです。綺麗な新婦様を見ると、緊張しますよね」

女性は褒めてもらいたくて、男性に感想を聞くけれど、男性は思いのほか女性の思うような言葉は言ってくれない。

そんな時、女性は不貞腐れてしまうし、男性は気恥ずかしさからそんな女性の様子には気付かれない。

「新婦様の姿を見つめて、にっこり微笑むんです。そして、いいね、です」

大事なのは新婦様の姿をしっかりと見つめること。

見惚れていることを恥ずかしがらず、視線を外さないまま微笑めば、きっと新婦も微笑むだろう。