「何で・・・?一度も私のドレス姿を写真ですら見てくれないし・・・」
その言葉を聞いて愕然とした。
新婦は2回来店して試着したドレス姿を一度も見せられていなかったのか。
「一度、場所を移動しましょう。お飲物をお持ちします」
何が起こっているのか、冷静になるためにも人の目が無い場所で話し合うのが必要だと思った。
個室の打ち合わせスペースはコーディネーターとヘアメイク担当などの打ち合わせで使われる場所だが、真田さんに許しをもらって使用させてもらうことにした。
「くれぐれも、新婦様に偏って肩入れしないように。新郎様にも何か言い分はあるはずです」
「はい。新婦様からは一度話を聞いているので、新郎様からお話を伺います。ただ、新郎様だけを連れ出したいので、新婦様の接客をどなたかにお願いしたいです」
「ああ、それなら私が行きます」
「支配人自らですか!?そんな、申し訳ないです」
「空いている者がいません。私では不満ですか」
「と、とんでもありませんっ」
「それなら、早く向かってください」
席に戻ると、俯いたままの2人が会話もせずに座っていた。
「新郎様。こちらへ」
「新婦様、こちらの不手際で書類に不備がありましたのでご確認頂けますか」
突然の眉目秀麗な男性の登場に緊張した様子の新婦を気遣いながらも新郎は私と共に個室の打ち合わせスペースで席についた。

