フルール・マリエ



3回目の来店では神崎様は2人で訪れてくれた。

新郎は初回のようにスーツを着ておらず、柔らかそうなカーディガンに薄ピンク色のシャツとチノパンという最初のクールな印象とは変わって、普段着はラフな装いだった。

「本日は新郎様の衣装もお選び頂きますね」

「美玲からもそう聞きましたが、僕は何を選ぶんでしょうか?」

「タキシードと一口に言っても、色や形が様々です。ご希望の色などはありますか?」

打ち合わせスペースに2人を通し、白、黒、グレー、ネイビーなどのタキシードを並べた衣装掛けを新郎の前に持ってくる。

「隆之君は白が似合いそう!」

「白?ハードル高いよ」

「ご試着してみますか?最初は皆さん敬遠されますけど、新婦様と並んでみると馴染んで見えますよ」

「美玲も試着するの?」

「うん?ウェディングドレスを今日は着てみるんだって」

突然新郎が動揺し始めたので、私も新婦も首を傾げる。

「どうかされましたか?」

「あ、いえ。申し訳ないのですが、最初は僕の試着だけにして頂けませんか?」

「え?」

「あの、新郎様は新婦様の衣装に合わせていくので、一緒に並んで頂いた方が、よりお似合いの衣装を選べるんです」

「それだったら、僕の衣装は美玲の衣装に合うもので良いです」

訳がわからず、私が困惑している視線の先に涙目になっている新婦が新郎を見上げていた。