フルール・マリエ



「花束を渡した意味、伝わってたんだね」

「新作ドレス発表会に行った帰りのこと、思い出したの」

「あれは俺が渡したブーケじゃなかったからね」

「私だって、イエスの意味で差し出した1束じゃなかったよ」

でも、あのブーケがきっかけとなって付き合いを始めたのは確かだ。

「聖、左手を出して」

出した私の左手を千紘が恭しく自分の手の上に乗せ、ダイヤが一粒輝くリングを薬指に通した。

少しサイズが大きいけれど、眩い輝きは私の瞳を潤ませた。

「結婚してください」

「はい」

思わず溢れた頬を濡らす一筋の涙の上から千紘の優しい指が触れ、ふわりとした微笑みと共に唇を交わした。