「写真、見てもらえますか?」
「ええ、喜んで」
旦那さんは携帯をタップして私に画面を見せてくれる。
教会内のステンドグラスをバックに2人が寄り添っている写真だった。
奥さんは大きく目立つお腹を包み込むように両手で支え、微笑んでいる。
「なんだか神秘的で。このお腹の中にこの子がいたのかと思うと信じられないほどです。このドレスを見つけてもらえて本当に良かったです」
夫婦が笑ったことにつられてか、女の子も声を上げて笑った。
「お仕事中に失礼しました。では」
2人は礼をして幸せそうに3人で店を出て行った。
私も幸せな気持ちで3人の後ろ姿を見送った。
私達の仕事はドレスを選ぶまで。
こうして結婚式の様子やヘアメイクなど、全て完璧に装飾された新郎新婦を見ることはない。
だけど、笹木様の写真のように、帰り際に見せたように、幸せそうな笑顔で結婚式を迎えてもらうために私達の仕事はあるし、それがやり甲斐だ。
改めて自分の仕事に誇りを持つことができ、私の答えは決まったように思う。

