フルール・マリエ



「結婚式の打ち合わせの予定を忘れていて、すっぽかしたことがあったの。気付いた時にはもう約束の時間なんかとっくに過ぎてて、夫に連絡したの」

楽しそうに話し出した冴羽さんの姿にホッとしながら、耳を傾ける。

「そしたらね、家に帰ったら答え合わせしよう、って言い出したの」

「何の答え合わせですか?」

「って、思うでしょう?私、怒られるかと思ったから驚いちゃって、その時にはわかった、って答えて電話を切っちゃったの」

「えー、それで答え合わせはできたんですか?」

「できたわよ。その時の打ち合わせは、お花の打ち合わせだったの。お花屋さんとの打ち合わせだから簡単にキャンセルできなくて、夫が選んだお花を写真に撮ってくれたのね」

「お花ってブーケも含めて、会場の物もですか?」

「そう。信じれないでしょう?心踊る準備のはずなのに、花嫁が不在なんて」

花嫁にとってブーケは特別なアイテムだ。

それを本人が決めずに旦那さんが決めてくるなんてできるんだろうか。

花嫁のお気に入りになるブーケを。

そこまで考えて、ハッとする。

「答え合わせって、もしかして」

「そう。僕が選んだブーケのイメージは君の想像していたものかな?って聞いてきたの。私が答えるまで緊張した様子で私の顔をジッと見てね」

「なんか、可愛いですね」

「そうそう、もう可愛くて笑っちゃったわ。こういう時は怒るもんでしょう、って」