その数日後に予約無く和光様新婦が訪れたので、どうしたのか訊ねると真田さんに会いに来たという。
本人に伝えたいことがあるとのことで、事務所にいた真田さんを呼ぶと、2人は打ち合わせスペースに入って行った。
「怪しいー」
「わ、冴羽さん」
打ち合わせスペースに入った2人を確認した冴羽さんが私の後ろを通過するタイミングで、訝しんだ目を向けて去って行った。
伝えたいことって何だろう。
ドレスのことなら私を通してもらうはずだし、もしかして私に対するクレーム?
後はあまり考えたくないが、過去に関連した話か。
思ったよりもすぐに2人が部屋から出て来ると、真田さんの表情は変化が乏しいので読み取れないが、新婦は笑顔で帰って行った。
「あの、私に失礼がありましたか?」
真田さんに直接訊くと、一瞬面食らった顔をした。
「和光様が支配人に直接話をされるようなことだったので一大事なのかと」
「ああ、心配しないでください。個人的なものですから」
それはそれで気になるけれど、ひとまずは安心した顔をする。
「朝見さんが不安になることは一つもありませんよ」
念を押すように言われた言葉は従業員としての私では無く彼女としての私に向けられたように思えた。

