「隆之君、新しい大きな仕事を任せてもらえて、とても大切な時なんです。だから、邪魔したくはないんですけど、結婚式も私が好きなようにやらせてもらえるから、文句は無いんですけど・・・」
テーブルの上にポタリ、ポタリ、と雫が滲む。
「ちょっと、不安になってきて・・・。私、優柔不断だから、1人で決められないことも多くて、本当に結婚式とかできるかな、とか。まだ打ち合わせも始まってないのにおかしいんですけど、友達の話とかネットを見ているうちに、結婚式ってすごい大変なんだ、って思ってきてしまって・・・」
新婦を尊重して、任せるよ、と言う新郎は今までのお客様にも存在した。
ただし、任せることは放任とは違う。
新婦の好きなことをさせようと思いが強いあまりに、新郎からの意見が貰えない、協力してもらえない、と嘆く新婦は結構いるのだ。
ナイーブになっているからこそ、2人で支え合っていかなくてはならないのに、喧嘩になってしまったりすることもある。
どうやら、目の前の神崎様は、そんな不安さえも相談できていないのだろう。

