フルール・マリエ



試着を終えると、新郎は既に着替えを終わらせて立っていて、新婦を見るなり口をぽかんと開けて見惚れているようだった。

「感想無し?せっかく着せて頂いたのに」

「いや、言葉忘れるくらい綺麗で」

見ているこっちが恥ずかしくなるくらいに、新郎も新婦も照れ合っていた。

「鏡の前にどうぞ」

2人を並ばせると装いは簡易的だが、今から挙式が始まるようだった。

「写真をお撮りしましょうか?」

「あ、お願いしますっ」

新郎は慌てて携帯を出し、受け取った携帯で構えると2人共、固い顔で立っている。

「新郎様、もう少し新婦様に寄ってください。あと、笑顔で。撮りますねー」

そう言ってやっと微笑を浮かべた2人の写真を撮影した。

「ありがとうございますっ。宝物にしますっ」

携帯を返す時に新郎から大げさに感謝され、新婦も苦笑いを浮かべながらも、どこか嬉しそうでもあった。

私達は新郎新婦の結婚式を見ることはできないが、初めてドレスを着て感動する2人を見られるのは私達の特権でもある。

幸せなオーラに包まれた私までも、幸せな気持ちになるから、この仕事は楽しいのだ。