新郎新婦は今度は小さな声で何かを話し始め、どうやら新婦が新郎をたしなめているように見えた。
「どうかされましたか?」
「あの、マーメイドラインを着るって決めてるのに、別のドレスを試しに着てみることってできるんでしょうか?」
「他の形にもご興味があるということですか?」
「すみません、興味があるのは僕なんです」
申し訳なさそうに手を挙げたの新郎の方だった。
「ふわってドレスあるじゃないですか。ザ、ウエディングドレス、みたいな。あ、入口に飾ってるような」
プリンセスラインのドレスを言っているようだ、とわかって頷いた。
「ああいうドレス着た姿も見てみたいなぁ、って。彼女は当日着るドレスの候補に無いので、本当に僕の自己満足なだけなんですけど」
そういうことか。
てっきり、新郎が着てみたいのかと思ったが早とちりも早とちりだった。
本当に、この新郎は新婦の事が好きなんだなぁ、と微笑ましかった。
「お持ちしますよ。まだ、固定する段階でもありませんし」
笑みを返すと、新郎は嬉しそうに頭を下げた。

