フルール・マリエ



本日ご来店の新郎新婦は、ショルダーバックにマタニティマークをぶら下げた安定期に入ったばかりの笹木様で、早速ドレスの打ち合わせを始める。

「悪阻が酷くて、結婚式なんて無理かな、って思ってたんですけど、短期間でも準備ができる式場があったので、慌ただしいですが、よろしくお願いします」

20代前半とまだ若い新郎新婦で入籍もこれからだという。

実際に結婚式にする頃には妊娠後期に入っていて、これからお金もかかるだろうということで、披露宴は親族のみで行い、ドレスもウエディングドレスだけにするという。

「ネットで調べたんですけど、妊娠後期だとドレスの形も限られてくるんですよね?」

「お腹が大きくなってくる頃なので、体調のことなどを考えたりすると、お腹に負担がかからない物の方をお勧めしていますね。ご希望のドレスの形がありましたか?」

口ごもる新婦を見て、新郎が、とりあえず言ってみたら?と新婦を後押しする。

「マーメイドライン、なんて無理ですよね?」

「マーメイドライン、ですか」

体型がもろに出るドレスだが、細身の新婦にはよく似合いそうだった。

実は、マタニティウエディングドレスを受け持った経験は私もまだ少ない。

少ない経験の中で新婦が選んだのは、妊娠後期でなくとも、体調のことを考えてお腹を圧迫しないものだったり、軽かったりという機能性重視で、Aラインや、エンパイアドレスが多かった。

マタニティドレス自体もその形が遥かに多い。