「入口のドレス、好評のようですよ」
「冴羽さんのお客様からも気に入って頂けたと聞きました」
「そうですか」
真田さんの視線が私から事務所全体に移される。
事務所が綺麗に整理整頓されているかを確認しているのだろう。
私以外のコーディネーターは出ているが、どの机もパソコンが閉じられているだけで机の上には必要最低限の物しか置かれていない。
真田さんが来てから徹底されているのは、事務所すらも乱れてはいけないということ。
見た目の美しさは日々の行いから現れるもの、と片付けの苦手な私も自然な形で机の上を整理する習慣がついた。
合格点が出たのか、真田さんは1番奥の席に座ってパソコンを起動させた。
半年一緒に仕事をしているものの、表情の変化が乏しく、会話も必要最低限しかしない真田さんのことを私も含めてコーディネーター全員、知らないことが多すぎた。
本部に友人がいる和装担当の楢崎さんが聞いた話ですら、プライベートな情報は一切謎らしい。
女性の職場で美しい男性が1人。それもエリート。
どうしても気になってしまうのは、女の性とでも言うべきだろうか。

