2人で頭を下げると、頭上で突然破裂音が響き、びくりと肩が跳ねる。
「惚気ちゃってー。叔母さん、キュンキュンしたわ」
お母さんと叔母さんの手にはクラッカーがあって、私と千紘の頭にカラフルな紙のテープがかかっている。
何が何だかわからなくて、呆然としていると、その状況を理解したのか、お母さんの方がごめんなさい、と謝った。
「会いたかったのもそうだけど、お祝いしようと思って呼んだのよ。でも、姉さんが悪戯心出してね。止められなくてごめんなさい」
「だって千紘、イケメンのくせに彼女連れて来たことないから、女の子に興味無いとか、千紘がチャラ過ぎて1人に決めない主義とか、心配だったんだもの。今回はお見合いしたくないためにでっち上げの彼女連れて来るのかと疑ってたのよ」
でっち上げ、やろうとしてました。
苦笑いを浮かべて、千紘を見ると同じように苦笑を浮かべていた。
「でも、良かったわ。千紘の事、ちゃんと好きになってくれた人で」
「こんな形で千紘の初恋が叶うなんてねぇ。良かったわね、千紘」
「それ、言わなくていいでしょ」
千紘を見上げると、私の顔の前に手をかざした。
「ちょっと、こっち見ないで」
千紘、照れてる?
「親の勝手で引き離しちゃったから、罪悪感あったのよね。私も肩の荷が降りた気持ちだわ」
お母さんは胸の前に手を置いて微笑んだ。
その後すぐに、お母さんが振舞ってくれた手料理で昼食を頂き、馴れ初めなどを根掘り葉掘り聞かれながら夕方前には真田宅を後にした。

