ああ、やはり将来のことも見越して品定めされているのか。
私が千紘の妻に相応しいのか、家柄も含めて。
「父は医療機器メーカーに勤務、母は保険会社の営業です」
千紘のお母さんは温かいお茶を静かに置いて、姉さん、と息を吐いた。
「私がシングルマザーでパート勤めなのに家柄も何も気にする必要ないでしょう。聖ちゃんのお母さんとは話したことがあるけど、明るくて気立てのいい方よ」
お母さんも叔母さんの横に座ってたしなめてくれたが、叔母さんはまだ質問があるようで、私を見据えたままだ。
「朝見さんは千紘のどこが気に入ったのかしら?」
千紘本人にすら、話せていない事をお母さんと叔母さんの前で伝えなくてはいけないことに、躊躇いを覚えたが、言わなくては認めてももらえないだろうな、とも思った。
「仕事をする姿勢を尊敬しています。自分を律して妥協を許さない厳しいところがありますが、とても部下思いで頼りになる存在です」
「仕事を通さない千紘はどうかしら?」
「真っ直ぐ、正直に気持ちを伝えてくれます。優しくて、私の不安や緊張を解いてくれる言葉に助けられています」
膝の上に握った私の拳を、千紘がそっと包み込んでくれる。
「叔母さんが俺の事を心配してくれるのは嬉しいけど、俺は聖じゃないと嫌なんだ。だから、静かに見守っていてほしい」

