「だからって、お前諦められるのかよ。菜那ちゃんはお前の元カノだろ?嫌いだとは言われてないんだろ?まだ可能性はあるだろうが。」



「智也…そうだな!よし、誕生日聞いてくる!そんで、次の休日、遊べるか聞いてくる!」


誕生日だけ聞いてもおかしいから、デートの誘いもしてしまおう。


「あ、デートの誘いしちゃうんだ、がんばー。」



そう、智也に見送られ、俺は菜那の席へ来た。



今、菜那の周りには、俺しかいない。


田中は違うクラスなので、自分のクラスの人に呼ばれて、帰っていった。


絶好のチャンス。逃してはいけない。



「…菜那。」


静かに、優しく、俺は菜那の名前を呼んだ。



「…なぁに?佐藤くん?」


菜那は、かわいい笑顔で俺の姓を言った。


今まで菜那は、俺のことを優希と呼んでいたのに…と少しショックを受けつつ、話しかける。



「お前、誕生日いつ。」



急に聞いたからだろう、菜那は大きくて綺麗な目を見開いた。



少ししてから、菜那は答える。



「私の誕生日?どうして?」



「なんでもいいだろ。教えろよ。」



菜那の顔がこわばった。それでもすぐに笑って言う。


「12/17だよ。」



1ヶ月後か。なら、それまでに頑張って振り向いてもらおう。


「おい菜那。明日空いてるか?」