ということは、私は余計な騒ぎを起こして無駄に皆を混乱させただけ……なんの助けにもなっていなかったんだ。
愁の為に良かれと思ってしたことが、とんでもないトンチンカンな行動だっということが分かり、更に落ち込む。すると愁がそんな私の肩に手を置き、根本課長と早紀さんに全て聞いたと微笑む。
「まさか、俺が電話で話したことを全く聞いていなかったとはな……」
「ごめんなさい。別れの言葉を聞く勇気がなかったの」
「でもな、CEOはお前を褒めてたぞ。自分の身を挺して好きな男を守ろうとしている姿に感動したって。そしてそんな素晴らしい女性に愛さている君は幸せ者だってな……」
CEOにそう言われた愁は、こう答えたそうだ。
「紬が素晴らしい女性だということは、彼女と出会った時から分かっていました……てな」
「あぁ……愁」
愁にこんなに褒めてもらったことがないから、どんな顔をしていいか分からない。
「それと、さっきのキス……あんな積極的な紬を見るのは初めてだったから、妙に興奮してゾクゾクしたよ」
「その話しはやめて。恥ずかしい……」
改めて言われるとめっちゃ照れる。真っ赤になって俯くと愁が後ろから私を包むようにフワリと抱き締めた。
「この日が来るのをどんなに待っていたか……愛してるよ。紬……」
「あっ……」
首筋にソッと愁の唇が触れ、キスされた部分が燃えるように熱くなる。堪らず彼の腕をギュッと掴むと、顔を上げた愁が鏡に映った私を見つめ熱い吐息を漏らした。



