翌日。
学校に着き、自分のフロアに行くと掲示板の前に人だかりが出来ていた。
その人だかりの中の誰かが私に気付くと、

「来たぞ!」

と、言い、その場に居た人達がくすくすと笑いだした。
気にせず教室に向かおうとしたが、

「おい、待てよ、見てけって。」

と話した事も見た事もない男子に腕を引かれ、掲示板の前に連れて行かされた。
半ば無理やりに顔を上げさせられ、其処に貼られている物を見た。
それは、私が先日泣きながら書いた手紙だった。
その瞬間、世界が止まった様な気がして、その場に立ち尽くした。
周りの音が何も聞こえなくなった。

誰か分からないけれど、私を突き飛ばし、それで現実に引き戻された。
突き飛ばして来た奴を思い切り睨み付け、立ち上がり、貼られていた手紙を引き剥がし、その場から走り去った。
階段を急いで降りていると、誰かにぶつかった。
顔を見ると、絢人だった。
今、一番会いたくない人だった。
顔を見るなり怒りと悔しさが込み上げて来て、涙が溢れた。

「ど、どうし・・・」
「・・・最低!」

言葉を遮り、それだけ伝えるとまた走り去った。
その後、一心不乱に走り続けた。
気が付いたら家で、自室迄駆け込み、ずっとずっと泣いた。
体中の水分が無くなるんじゃないかと言う程、泣いた。

それからは、普通に登校する事は出来なかった。
だけど進学はしたかったし、保健室や、別の教室に時折登校し、テストを受ける等していた。
嫌がらせを受けている間も仲良くしてくれて居た子は、偶に連絡をくれたり、会いに来てくれたりしていた。
本当はどう思っているのかわからなかったけれど、変わらないで居てくれた事、本当に感謝している。

何とか私は進学する事が出来た。
私の中学校からは誰も進学していない所。
其処迄遠くはなく、公立で、偏差値はそんなに良くなかったけれど、それで十分だ。

私の過去を知る人は其処には誰も居なかったし、新しい友達、ななせとも出会えた。

此れが、私の今までの過去。