恋を忘れた君に


「そだね、女子ってそう言う所あるからねえ。」

私も学生の時、当時一緒に居た女子に連れられてかっこいいと噂の先輩やら同期やらを見に行ったことがあった。
その子達のなかに、本命だ、と言っていた子が居た気がする。

「あ、もしかして二人もそう言うのあったり?」
「私も夢もないかなあ、昔からあんまり男の子に群がるって習性なかったし。」

うんうん、と私も頷いた。

「あ、でも、夢は中学生の時学校イチのイケメンじゃないかって言われているような先輩と付き合ってたっけ。」

私もその事を丁度思い出していた。
そう、これがあまり良い思い出ではない。
今となってはもう、苦いだけの思い出となった、唯一の恋愛だ。













「あー・・・・うん。そんなこともあったか、なあ。」

出来ればその話はしたくなかった。
ななせにも話していないことがあって、知られたくない過去なのである。
もう、墓場まで持って行ってやろうかと思っていたのに。

その空気を察してか相田さんが、

「いやいや!!俺のモテモテ学生時代の話聞きたくない?!」

彼の明るさと気遣い上手なところに本当に、本当に感謝した。
そして、私にだけ分かるアイコンタクトを送ってくれ、少しだけ、頭を下げた。

「ん?!蒼佑くんが学生時代にモテた話とか私聞いたことないなあ?!」
「あ、はは~そうだっけ??まあ、昔の話じゃん?」

何だか私のせいで余計な揉め事を起こさせてしまったようで申し訳なくなる。
そんな二人を隣で見つめていると、先ほどの心配はかき消されていった。

そんな中、微笑みながらも私の顔を見つめてくる沢渡さん。
どんな表情で私のことを見ているのかまでは、分からない。
きっと今、彼の方に顔を向けると、負けたことになってしまう、様な気がする。

相田さんのモテモテ武勇伝を聞き、武勇伝と共に相田さんの学生時代の話になり、荒れていた事を知った。
本日はその話題でお開きとなった。