恋を忘れた君に



先に相田さんが幾つか選び、残りは一人一つずつ、あとは飲み物を注文した。
男性陣はアルコールを頼んでいたが、私たちは生憎、お酒に強くなく、ソフトドリンクで乾杯。

今週あった出来事、面白い話、会社の愚痴、色々な話をした。

「はいはい!私、相田さんとななせの話が聞きたいです!」

私の発言にななせが飲んでいたジュースを軽く噴き出した。
それとは反対に、相田さんはにっこり笑顔。
普段聞けないのだから、こういう時にこそ聞いておかないと。
私は相田さんに向けて親指を立てた。

「良いよ良いよー、何聞きたい?てか夢ちゃんなら色々話してるんだろうなあって思ってたんだけど。」
「んー・・・全く聞かないってことはないんですけど、ななせが恥ずかしがってあんまり話してくれないんですよね。」
「なるほどねえ。」

相田さんは意地悪い笑顔を浮かべた。

「蒼佑くん!私本当にそう言うの恥ずかしいから、だめ、ね?!それにせっかく4人なんだから、それぞれの恋愛話とかしようよ!」

「あ、それ、僕もちょっと気になるなあ。」

と、ここで沢渡さんの援護が入る。

ぶーぶー、と私と相田さんは拗ねる。
暫くぶすくれていたが諦めたように相田さんが、

「でもさー、どうやってする?」
「じゃあさじゃあさ、どんな女の子が好きですか!蓮くんからどうぞ!」

先ほどまでのななせはどこへやら。
本当に人の恋愛の話になると大好きなんだから。

「僕?んー・・・あんまり考えたことないなあ。」
「でも、沢渡さんてモテそうですよね~。最近の女の子が好きそう。」

相手に伝わっているかどうかは分からないけれど、少しだけ、トゲのある言い方をしてやった。

「そうそ!こいつめちゃくちゃモテるから!俺の部署の女子もしょっちゅうきゃっきゃ言ってさあ。」
「いやいや・・・そこまでじゃないよ、それにああいうのって本命とかではないでしょ。」

何となくそういう事に慣れている様な言い方だった。
学生の頃からもそんな感じだったのだろうか。

「いや~、でもきゃっきゃいってる子の中には絶対本命もいるって!ね?!」