月がみていて

そんな僕は、

あまりにも幼く、無知だった。

その頃を、思い出すと苦しくなる。


―何の心配もなく、

何の不安もない。


時間になれば起こされて、

時間になれば食事した。

「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」のある家。

「ただいま」が言える家。―


12歳になった僕は、ちょっと大人になった。