胸がドキドキする。
トイレに入っていくのが見えたため、教室に戻ってくるかもしれない。
なぜなら、
わざわざ3階まで行ってトイレを利用するだけとは思えないからだ。
忘れ物かな?
とりあえず俺は教室へ入った。
太陽の光がなんとも午後らしく教室を照らし、
遠くの運動場からかすかに声が聞こえるぐらい静かな今、
落ち着かない。
さっさと忘れ物を取って出ればいいのだけれど。
話せるかも、という期待。
さっきよりも胸の鼓動が一段と速くなった。
落ち着こう。
そうだな、
お疲れ、とか暑いねとでも言おうか。
それとも何してんの?が自然体だろうか。
そのようなことを、教室の後ろの方で考えていると、
「ん?」
気がつかなかった。
俺の机の後ろにある山内の机。
そこにはお弁当箱が置いてある。
(……ここで1人で食べるつもりなのか?)
ガリ勉は知っているのだろうか。
こういう…家庭事情?を。
…いやいや、深く考えすぎかな。
たまたま、
今日は親が仕事かなんかでどうしても来れなかったのかもしれない。
なんて、色々考えていると、
「各組みの応援団長さんは本部テント前に集まってください。」
遠くでそうアナウンスが聞こえた気がした。
山内はまだ、帰ってこない。
ちょっと未練があったが、俺はもう行くことにした。
(…そうだ!)
ふと思いついて、
後で友だちも交換しようと思っていた、
チョコレートやキャラメルなどのお菓子を山内の席に置いた。
なんとなく間違ってるかもしれないけれど、
(…頑張れ、頑張ろう山内!)
そう、心に呟いた。

