山内が転校してきて2ヵ月。
梅雨シーズン到来。
相変わらず5教科の授業はあって、体育は少なくて。
そのうえ席替えがあって山内とは真逆まで離れて。
そのうえガリ勉は山内の後ろ。
…ラッキーボーイかよ。!!
俺はつまらなく感じていた。
それに、気のせいかもしれないが
最近ガリ勉と山内は放課後一緒に帰っているらしい。
何でも先にガリ勉が帰って、
後から時間差で山内が合流するという、秘密っぽいことを……。
山内が転校してきた初日から、寝ても覚めても山内のことが頭から離れない。
でも、本人と対等に話すなどできない。
それはそれは緊張して仕方がない。
このような同じ気持ちを毎日ぐるぐると悩ませていると、
「もしかしてさー、かすみちゃんのこと好き?」
ある帰り道、1つ結びの幼なじみが突然俺に言った。
「は!!なんで!?」
あまりに急に言い出したため、俺は本当に驚いた。
「女子の間でも噂してるよ。かすみちゃんばかり見てるって。」
「いやいや!!違うから!!ほんと、そんなんじゃねーし。」
「ふーん。」
そう言って疑わしい目で俺を見ていたが、
俺はそんなに分かりやすいオーラを出していたのだろうか。
「でもさぁ、かすみちゃんって性格悪いよ。」
「なんで?」
「地味ーズとしかしゃべんないし、ウチらが話しかけても全然笑わないからさ、好き嫌い激しい気がする。あっ、ていうか最近ガリ勉とよく一緒にいるよねー。」
「…付き合っているとか?」
噂好きの女子なら知っているかもと思い、聞いた。
「ええー、そうだったらありえない。ガリ勉カッコよくないし、絶対に嫌だ。」
ガリ勉には申し訳ないが、カッコよくはないな。
ザ・普通。
頭はいいけど。
でも、ほとんど笑いも喋りもしない山内を笑わせることのできるガリ勉はすごいと思ったことがあった。
悔しいけど。
俺は、これからどうすればいいのだろうか。

