「さて、細野に問題。“影響する”は英語で?」
「introduce 、だろ?いきなりどうしたの」
「細野、答えられるかなー?って思ったの」
「そりゃできるよ、一応受験生なんでね」
それから、行くよと言うように、手を差し出してくれる。
「…実伶奈?」
「…んもう、細野、大好き!」
手を繋ぐの、いつも覚えててくれる。
お互いの思いを伝えあったあの日から、私たちの中で手を繋ぐのは定番だった。
受験勉強で疲れてるし、最近は一緒に帰ってなかったから、忘れてると思ってたのに。
「ふふっ、どうしたの。不意打ちはずるいんだけど」
「手を繋ぐの、忘れてると思ってた」
「なんで?忘れないよ。忘れようとしても忘れられない」
「どうして」
「実伶奈が俺の中で一番だから」



