「細野!」



肌寒くなってきた、11月の半ば。


マフラーを巻いた私はいつものように、細野に声をかける。


受験勉強も佳境に入ってきているこの時期。


細野と過ごせるのは、この下校のほんの僅かな時間だけ。

それは、まあ寂しいけど、私も受験が余裕なわけじゃないし。


それは、細野も一緒だから。


受験終わったら遊ぼうねって、沢山の約束を取り付けて。


今はこれだけで我慢するんだ。