「なに本気にしてんだよ、オバサン!」


な…っ!


「あたしはまだハタチよ!?」


既に閉まった扉に向かってそう叫んでいた。


「お帰り、ヒナ」


のんびりした口調で秋人が言うものだから、ガクンと膝が折れた。


「ア・キ・トぉ~っっ!! あいつどーにかしてよっ!?」


「は?」


「エージよ、エージ!! もう家に連れて来ないでっ!」


軽く沸点に達するあたしに対し、秋人は言いにくそうに口を歪めた。


「イラついてるとこ悪いんですが」


なによ、と眉をひそめたあたしに一拍の間を置いて秋人は言う。





「あいつヒナの事好きなんだって」





   は……?






「そーいう事だから。後はよろしく」



   え……??




なにそれ…。




目が点になるあたしの脳裏には。


先ほど永治が放った、‘オバサン’の四文字がいつまでもこだましていた。