スラリと高い身長に、二重まぶたの整った顔立ち。


半袖シャツからにょきっと伸びるその腕には、葉脈さながらの血管が浮きだっている。


16歳という年齢でありながら、その綺麗な容姿と、異性を感じさせる体躯(タイク)はもはや詐欺だ。


赤い顔で黙り込むあたしを尚もジッと見つめ、彼は言った。


「…ヒナ、もしかして」


「な、なによ?」


確信を得る瞳に、つい身構えてしまう。


「俺に惚れてる?」


一瞬、言葉を無くし、くらりと視界が揺れた。


「…は? なにそれ、超自意識カジョー」


いつから居たのか、永治の後ろで弟の秋人がやれやれと肩をすくめていた。


つい、いたんだ? と呟きそうになるが、ヒートアップしたあたしの口は止まらない。


「有り得ない事言わないで。誰があんたみたいな高校生(ガキ)に…!」


ひとりで苛立つあたしと違い、永治は無表情で黙り込んでいた。


…何でこんな風なんだろう。


永治といると無性にイライラする。


あたしは両手を握りしめ、あからさまに不機嫌さを装う。


その脇を通り過ぎ、永治は玄関の戸を開けた。