「ん〜〜っ!やっと終わったあ!」

「みらちゃん、声大きいよ!!しーっ!」


私が背中を伸ばしていると菜結に注意される。でも、これもいつものこと。


「よっ。お二人さん!」

「あ、山田!式のとき寝てなかった?」

「ね、寝てねえよ。」


そう言って慌てて答える彼の名前は山田竜一(Yamada Ryuichi)で、ちなみに中学からの友達だった。


「そうだ。山田、今日の放課後ゲーセン行こうよ!」

「いいぜ!」

「やった!じゃ、放課後教室に行くから!」

「おう。」


そんな会話をしていると、再びあの先生に注意が飛んでくる。


「そこの二人。無駄話してる暇があるなら早く戻りなさい。」

「げっ。伊藤だ。」

「すいませーーん。」


私と山田は慌てて早歩きになった。
でも、伊藤なんて先生居たっけ?


私は菜結に追いつくと、伊藤先生について質問してみた。


「伊藤先生覚えてないの!?去年一度だけ教えてもらったじゃない!」

「あれ、そうだったけ?」

「そうだよ!もう、みらちゃん寝てたんでしょう。」

「あ、はは!」


私は笑って誤魔化すことしかできなかった。
菜結は優しいけれど怒ると勢いがあって反抗しづらいから。


でも、去年一度だけだったなら知らなくて当然か。
私は、開き直った。