「結衣さん、メンバー票の記入終わりました」
「ありがとう」
私のした罪は約束通り宇佐美くんの中だけにとどまっている。
一見すると何も変わらないように見える日常。
しかし。
見えないところで状況は大きく変わっていた。
「結衣さん、生徒会長就任おめでとうございます」
「あり、がと……」
「結衣さんならなれるって信じてましたよ」
笑顔でそんなことを言ってくる宇佐美くん。
今日は何をされるのか。
怖くて仕方なかった。
「この書類俺が提出しておきます」
宇佐美くんはみんながいる時は、
前と同じように仕事をこなしてくれた。
私に変なことをすることもない。
しかし。
「じゃあ今日は解散で」
「結衣さん」
みんなが帰った後。
ふたりきりになると、彼の雰囲気が変わる。
そのことに気づいてからは、
出来るだけ終わった後。
ふたりにならないように、みんなと一緒に帰宅していたんだけど……。
