【宇佐美直人side】




俺が初めて先輩を見たのは、高校選びをするのに学校見学をした時だった——。



太陽が痛いくらに照り付ける8月。



『初めまして、生徒会副会長をやっています

1年の吉永結衣です。今日は私が学校を案内しますのでよろしくお願いします』


丁寧なあいさつをしてきた彼女。


大人びた顔をしていてしっかりしているから上級生だと思っていたのに、

1年だという。


へぇ、ちょっと前に入って来たばっかじゃん。

1年で学校案内とか出来んのか?


なんて、ものすごいくすぶっていた俺。


こう俺がナメた態度をとっていたのは、入る高校なんてどこでもいいと思っていたからだ。


高校なんてどこでも一緒。

違いなんて別にないだろ。


ただ夏休み中に1校は行かなくてはいけないという学校の決まりだったので

仕方なく近くの学校を選び見学に来た。