「結衣さん、この書類なんですけど……」
「あっ、あとでやるからおいといて」
私は目を逸らし、宇佐美くんが逃げていく。
『あなたのことが好きです』
あの日。
宇佐美くんに告白されてから、私はどうしたらいいのか分からなくなりその場を逃げ出してしまった。
その返事をしないまま、数日が過ぎ私は今、彼と距離をとっている。
もちろん意図的にとっているわけじゃない。
今まで彼に向けられていたものが、敵意ではなく好意だったんだと知って
急に一緒にいることが恥ずかしくなってしまったからだ。
だって、宇佐美くんが私を好きだなんて……考えもしないじゃない。
どうしたらいいのか、分からなくなって今頭の中がぐちゃぐちゃだ。
放課後。
「今日は以上で解散になります」
忙しい時期が過ぎていき、学年ごとに寄せられた意見箱から寄せられたものの報告と
対策案を出すだけでこの日は解散となった。