「そうですか。それは良かった」

「宇佐美くんは?ずっと仕事に借り出しちゃったから後悔とかもあったんじゃない?」


「そうですね……

一つだけあります」


彼はそう言うなり黙ってしまった。

どうしたんだろう。

ワッフルを買ってからなんだかすごく静かな感じがする。


「じゃあまた来年に……」

「来年じゃ」


ーーパシッ。


「来年じゃ、もう遅いんです」


宇佐美くんは私の手をつかんだ。


めずらしく必死な顔で言われたその言葉。

瞳はまっすぐこっちに向いていて、緊張感が走る。


「どうしたの?」

「もう1年あるけど、来年じゃもう叶わないんです……」


もしかして、

本当は今日行きたいところがあったのに、行けなかったとか?

それとも劇?見たい出し物があった?


「ごめん、私……気づいてあげられな」

「ずっと文化祭が終わったら伝えようって思っていたんです」