「去年もずっと働いていたでしょう?

声かけられなかったから……」


そういえば、去年もずっと仕事してたっけ。

去年もすごくいっぱいいっぱいで遊んでいるヒマがなかった気がする。


「そんなこと気にしなくて良かったのに」

「結衣さん、きっと意味分かってないですね」

「なにが?」


聞き返しても宇佐美くんは質問には答えず、空になったお皿を私の分まで重ね始めた。

フォークもまとめて袋に入れると、それを机に置いたまま立ち上がる。


……戻るのかな?


そう思ったけれど、彼はただ窓際に行き、景色を見つめた。


私も彼の隣で同じように景色を見つめる。


「大変だったけど、この景色見てると終わりなんだなって感じがしますね」

「確かにね……」

「結衣さんは今日が高校最後の文化祭になりますけど、悔いはないですか?」


「そうね……仕事の方を頑張れたらって思ってたから

繁盛もしたし、色々あったけどみんな楽しそうだったし……」