大きな窓から朝日が差し込んできて、ぼんやりと覚醒しかけていた脳を一気に目覚めさせる。隣で寝息を立てている彼女を起こさないように静かにベッドを抜けだすと、シャワーを浴びるためにバスルームに向かった。

 昨日の汗と、身体に残った残滓を全て洗い流して、リビングルームに出る。そこにも昨日の名残の形跡がそこかしこに残っていて、できるだけ視界に入らないように、目を背ける。備え付けのパントリーに逃げ込んで、冷蔵庫を開けると、炭酸水を発見したので取り出して、口をつけた。

 よく冷えた、少しきつめの泡が、どこかもやもやとした気分をリセットしていく。半分ほど飲み干したところで、ダイニングから声がかかった。

「東吾さん?」

 裸の体にローブだけひっかけて、胸元は素肌を惜しみなく晒しながら、近寄ってくる。

「起こしてしまいましたか。まだ早いですし、もう少し寝ていても」
「いいえ。毎日決まった時間に目が覚めてしまうの。お気になさらず」

 あいつと正反対だな、と思った。しっかり者の印象とは全く違って、朝には滅法弱かった。休日になるとあまりにもずっと寝ているから、仕方なく叩き起こすと、いつもぶつぶつ文句を言っていた。だって眠いんだもん、昨日寝かせてくれなかったのは、一体誰……。