「へぇ。もし狙うやついたらどーすんの?」

「あったとしてもやらねぇよ」

さっきより声のトーンが低くなる
八尋は創汰が本気だと察した

彼女の側に"現在(いま)"いることが出来るのは自分しかいないと思っている

「……お前の本気は分かったよ。もしなんかあったらオレも千咲ちゃんを守ってやるよ」

「お前は本条のほうを面倒見ろよ。中学からの知り合いなんだろ?」

「まあな。瑠花も色々あったからな」

案外似たもの同士が友だちになったんだと納得した
そんな話が終わると二人も次に講義に向かうことにした

写真科もデザイナー科も、どの学科でもそうだが教室で講義もあるが外でそれぞれ活動することがある

「……で、あるからしてこのようにすると綺麗な色が出ます」

午後の講義を受ける千咲たち
デザイナー科の男女の生徒はだいたい半々だ

講義は一つだけでは選択授業が各自にあり受けたい授業は自由だ

(なるほど…)

ぼんやりと授業を聞いてると次第に眠くなってきた千咲
大学に入ると課題やバイト、家のことでいっぱいでたまに寝不足気味になる

創汰にも心配されたことがあった

「千咲大丈夫?」

小声で心配そうに瑠花が言う