本を下に落としてしまったために
あたしが急いで買ってきて
秋ちゃんの好きなものを発見できたような気がする
「ママー」
そう言って心菜に抱き付いている時点で
やっぱり、秋ちゃんのママは心菜なんだって実感させられてしまう
「心愛。ありがとう。祐介に話したら
少しすっきりした」
「よかった」
きっと、心菜はため込むタイプなんだろう
それをわかっているから
祐介君は、あぁ言ったんだ
それでも、買い物に行かせてくれるということは
”息抜き”も必要だってわかってくれている証拠だと思う
「ママ好きー」
「ママもよ?
ママも、秋菜は大好きよ?」
「パパは—?」
「俺もに決まってるだろ?」
きっとこれが、理想の親子なんだと思う



