◆企◇ ホワイトチョコレート


2階に連れてこられたあたしは
美夏を見ることしかできなくて

「泣きたいなら泣きなよ。
今は私しかいない。
お兄ちゃんも先輩もいないから、思いっきり泣きなよ」

「・・・ッぅうわあああああん」

よしよしと子供をなだめるように
抱きしめてくれてた美夏。

思いっきり泣きまくって
これでもかって思うくらい泣いて

きっと涙も枯れたんじゃないかってくらい泣きまくって

コンコン

「はい」

ドアを開けたのは美夏のお兄ちゃんで

「これ食べていきな」

そう言って、持って来てくれたのは
甘そうなパンケーキと紅茶のセット

「ありがと・・・ございます」

「いいんだよ。美夏の友達だしね」

え?

そう言ってドアを閉めて行ったお兄ちゃん。
きっとお店だって忙しいはずなのに

「私さ、お兄ちゃんの試食に毎回付き合わされてるんだよね」

え?

「それで、甘いもの、あんまり食べなくなって
でも、これからは友里に頼もうかなぁ」

「は?」

ゴホオホとむせてるあたしを横目に
うんうんと頷いている美夏。