2階に連れてこられたあたしは
美夏を見ることしかできなくて
「泣きたいなら泣きなよ。
今は私しかいない。
お兄ちゃんも先輩もいないから、思いっきり泣きなよ」
「・・・ッぅうわあああああん」
よしよしと子供をなだめるように
抱きしめてくれてた美夏。
思いっきり泣きまくって
これでもかって思うくらい泣いて
きっと涙も枯れたんじゃないかってくらい泣きまくって
コンコン
「はい」
ドアを開けたのは美夏のお兄ちゃんで
「これ食べていきな」
そう言って、持って来てくれたのは
甘そうなパンケーキと紅茶のセット
「ありがと・・・ございます」
「いいんだよ。美夏の友達だしね」
え?
そう言ってドアを閉めて行ったお兄ちゃん。
きっとお店だって忙しいはずなのに
「私さ、お兄ちゃんの試食に毎回付き合わされてるんだよね」
え?
「それで、甘いもの、あんまり食べなくなって
でも、これからは友里に頼もうかなぁ」
「は?」
ゴホオホとむせてるあたしを横目に
うんうんと頷いている美夏。



